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用語集

差押(さしおさえ) | 浮気・不倫・不貞・離婚の慰謝料の用語集

【定義】
差押えとは、金銭債権の強制執行の第一段階として、債務者の財産を勝手に処分できない状態にすることです。
 
【解説】
 債務名義を有する債権者は、裁判所に強制執行を申し立てて債権の内容を強制的に実現してもらうことができます。
債権の中でも金銭債権の執行は、債務者の特定の財産を強制的にお金に換えることにより行われます。
すなわち、まず差し押さえて勝手に処分できなくしておいてから競売などで換価し、配当手続などを経て債権者にお金を引き渡すということになります。
したがって、金銭債権の強制執行では第一段階が差押えとなるのです。

 強制執行の対象となる債務者の財産に含まれるものは、不動産、動産、船舶等、そして債権です。
それぞれ性質が違うので、強制執行の方法も異なります。

 不動産の差押えは強制競売(民事執行法45条)又は強制管理(同93条)の開始決定において宣言され、これが債務者に送達されるとともに登記されて行われます(同48条、111条)。
動産は執行官が現場に赴いて目的物を引き上げるか(同123条1項)、差押えの表示をする(同条2項)形で行います。
債権は、債務者に対して弁済の受領を禁止し、第三債務者に対して債務者への弁済を禁止する内容の差押命令を両者に送達することで行います(同145条)。

 差押えは強制執行を実効的なものにするため必要な手続ですが、債務者の財産権と一定の調整が必要です。
そこで超過差押(同128条)や無益な差押え(同129条)が禁止されているほか、債務者の生活を保護するため、
差押禁止動産(同131条)、差押禁止債権(同152条)が規定されています。
 
【関連用語】
強制執行
債務名義
給料の差押え
 
差押えの見込みや準備などについてご不明の点は弁護士にご相談ください。当事務所では離婚問題に関し、
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【参考条文】
民事執行法
(開始決定等)
第45条第1項 執行裁判所は、強制競売の手続を開始するには、強制競売の開始決定をし、その開始決定において、
        債権者のために不動産を差し押さえる旨を宣言しなければならない。
        第2項 前項の開始決定は、債務者に送達しなければならない。
        第3項 強制競売の申立てを却下する裁判に対しては、執行抗告をすることができる。
 
(差押えの登記の嘱託等)

第48条第1項 強制競売の開始決定がされたときは、裁判所書記官は、直ちに、その開始決定に係る差押えの登記を
                     嘱託しなければならない。
        第2項 登記官は、前項の規定による嘱託に基づいて差押えの登記をしたときは、その登記事項証明書を執行裁判所
                  に送付しなければならない。
 
(開始決定等)
第93条第1項 執行裁判所は、強制管理の手続を開始するには、強制管理の開始決定をし、その開始決定において、
債権者のために不動産を差し押さえる旨を宣言し、かつ、債務者に対し収益の処分を禁止し、及び債務者が賃貸料の
請求権その他の当該不動産の収益に係る給付を求める権利(以下「給付請求権」という。)を有するときは、
債務者に対して当該給付をする義務を負う者(以下「給付義務者」という。)に対しその給付の目的物を管理人に交付すべき旨を命じなければならない。

第2項 前項の収益は、後に収穫すべき天然果実及び既に弁済期が到来し、又は後に弁済期が到来すべき法定果実とする。

第3項 第一項の開始決定は、債務者及び給付義務者に送達しなければならない。

第4項 給付義務者に対する第一項の開始決定の効力は、開始決定が当該給付義務者に送達された時に生ずる。

第5項 強制管理の申立てについての裁判に対しては、執行抗告をすることができる。
 
(強制競売の規定の準用)
第111条 第四十六条第一項、第四十七条第二項、第六項本文及び第七項、第四十八条、第五十三条、第五十四条、第八十四条第三項及び第四項、第八十七条第二項及び第三項並びに第八十八条の規定は強制管理について、第八十四条第一項及び第二項、第八十五条並びに第八十九条から第九十二条までの規定は第百九条の規定により執行裁判所が実施する配当等の手続について準用する。この場合において、第八十四条第三項及び第四項中「代金の納付後」とあるのは、「第百七条第一項の期間の経過後」と読み替えるものとする。
 
(動産執行の開始等)
第122条第1項 動産(登記することができない土地の定着物、土地から分離する前の天然果実で一月以内に収穫することが確実であるもの及び裏書の禁止されている有価証券以外の有価証券を含む。以下この節、次章及び第四章において同じ。)に対する強制執行(以下「動産執行」という。)は、執行官の目的物に対する差押えにより開始する。

第2項 動産執行においては、執行官は、差押債権者のためにその債権及び執行費用の弁済を受領することができる。
 
(債務者の占有する動産の差押え)
第123条第1項 債務者の占有する動産の差押えは、執行官がその動産を占有して行う。
第2項 執行官は、前項の差押えをするに際し、債務者の住居その他債務者の占有する場所に立ち入り、その場所において、又は債務者の占有する金庫その他の容器について目的物を捜索することができる。この場合において、必要があるときは、閉鎖した戸及び金庫その他の容器を開くため必要な処分をすることができる。

第3項 執行官は、相当であると認めるときは、債務者に差し押さえた動産(以下「差押物」という。)を保管させることができる。この場合においては、差押えは、差押物について封印その他の方法で差押えの表示をしたときに限り、その効力を有する。

第4項 執行官は、前項の規定により債務者に差押物を保管させる場合において、相当であると認めるときは、その使用を許可することができる。

第5項 執行官は、必要があると認めるときは、第三項の規定により債務者に保管させた差押物を自ら保管し、又は前項の規定による許可を取り消すことができる。
 
(超過差押えの禁止等)
第128条第1項 動産の差押えは、差押債権者の債権及び執行費用の弁済に必要な限度を超えてはならない。

第2項 差押えの後にその差押えが前項の限度を超えることが明らかとなつたときは、執行官は、その超える限度において差押えを取り消さなければならない。
 
(剰余を生ずる見込みのない場合の差押えの禁止等)
第129条差第1項 し押さえるべき動産の売得金の額が手続費用の額を超える見込みがないときは、執行官は、差押えをしてはならない。

第2項 差押物の売得金の額が手続費用及び差押債権者の債権に優先する債権の額の合計額以上となる見込みがないときは、執行官は、差押えを取り消さなければならない。
 

(差押禁止動産)
第131条 次に掲げる動産は、差し押さえてはならない。
一 債務者等の生活に欠くことができない衣服、寝具、家具、台所用具、畳及び建具
二 債務者等の一月間の生活に必要な食料及び燃料
三 標準的な世帯の二月間の必要生計費を勘案して政令で定める額の金銭
四 主として自己の労力により農業を営む者の農業に欠くことができない器具、肥料、労役の用に供する家畜及びその飼料
  並びに次の収穫まで農業を続行するために欠くことができない種子その他これに類する農産物
五 主として自己の労力により漁業を営む者の水産物の採捕又は養殖に欠くことができない漁網その他の漁具、
  えさ及び稚魚その他これに類する水産物
六 技術者、職人、労務者その他の主として自己の知的又は肉体的な労働により職業又は営業に従事する者
 (前二号に規定する者を除く。)のその業務に欠くことができない器具その他の物(商品を除く。)
七 実印その他の印で職業又は生活に欠くことができないもの
八 仏像、位牌その他礼拝又は祭祀に直接供するため欠くことができない物
九 債務者に必要な系譜、日記、商業帳簿及びこれらに類する書類
十 債務者又はその親族が受けた勲章その他の名誉を表章する物
十一 債務者等の学校その他の教育施設における学習に必要な書類及び器具
十二 発明又は著作に係る物で、まだ公表していないもの
十三 債務者等に必要な義手、義足その他の身体の補足に供する物
十四 建物その他の工作物について、災害の防止又は保安のため法令の規定により設備しなければならない消防用の
   機械又は器具、避難器具その他の備品
 
(債権執行の開始)
第143条第1項 金銭の支払又は船舶若しくは動産の引渡しを目的とする債権(動産執行の目的となる有価証券が発行されている債権を除く。以下この節において「債権」という。)に対する強制執行(第百六十七条の二第二項に規定する少額訴訟債権執行を除く。以下この節において「債権執行」という。)は、執行裁判所の差押命令により開始する。
 
(差押命令)
第145条第1項 執行裁判所は、差押命令において、債務者に対し債権の取立てその他の処分を禁止し、かつ、第三債務者に対し債務者への弁済を禁止しなければならない。
第2項 差押命令は、債務者及び第三債務者を審尋しないで発する。
第3項 差押命令は、債務者及び第三債務者に送達しなければならない。
第4項 差押えの効力は、差押命令が第三債務者に送達された時に生ずる。
第5項 差押命令の申立てについての裁判に対しては、執行抗告をすることができる。
 
(差押禁止債権)
第152条第1項 次に掲げる債権については、その支払期に受けるべき給付の四分の三に相当する部分(その額が標準的な
        世帯の必要生計費を勘案して政令で定める額を超えるときは、政令で定める額に相当する部分)は、
        差し押さえてはならない。
       一債務者が国及び地方公共団体以外の者から生計を維持するために支給を受ける継続的給付に係る債権
       二給料、賃金、俸給、退職年金及び賞与並びにこれらの性質を有する給与に係る債権
第2項 退職手当及びその性質を有する給与に係る債権については、その給付の四分の三に相当する部分は、差し押さえ
     てはならない。
第3項 債権者が前条第一項各号に掲げる義務に係る金銭債権(金銭の支払を目的とする債権をいう。以下同じ。)を
     請求する 場合における前二項の規定の適用については、前二項中「四分の三」とあるのは、「二分の一」とする。

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