権利の取得や消滅にあたっては、本来、法律上の根拠が必要です。例えば、売買による所有権の取得、契約の解除による権利の消滅などです。
これに対して、時効とは、その法律上の根拠を問わず、ある事実状態が一定期間継続したことを主な要件として、その事実状態を尊重した形の権利の取得・消滅を認める法制度のことをいいます。
時効は、様々な法律に規定がありますが、一般的な規定として、民法第一編総則・第7章(144条から同法174条の2)に時効制度の概要が定められています。
同法によれば、時効は、時効によって権利を取得する取得時効と、時効によって権利が消滅する消滅時効の大きく2つに分類されています。
どれほどの時間・期間が経過すれば時効が成立するかは、権利の種類や内容によって異なります。
浮気・不倫・不貞の慰謝料請求は、民法上の不法行為による損害賠償請求権です。この権利は、時効制度では、消滅時効の対象となります。不法行為の損害賠償請求権については、民法724条に時効期間に関する特別な定めがあり、不法行為及び加害者を知った時から3年又は不法行為の時から20年間、権利を行使しないでいると時効消滅します。
【参考条文】
○民法724条
不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から20年を経過したときも、同様とする。