【定義】
婚姻秩序尊重義務とは、他人の平穏な夫婦関係を壊すようなことをしてはならないという一般的義務を意味します。
【解説】
夫婦の一方が不倫をした場合に不倫相手が慰謝料請求される根拠は、それが不法行為(民法709条)に当たるからです。
不法行為は①故意または過失により②他人の権利または法律上保護される利益を侵害し③それにより(因果関係)
④損害を与えたことをいい、効果として損害賠償義務が発生します。慰謝料は損害賠償の一種で、④が精神的苦痛である場合をそうよびます。
不倫では②にあたるものは婚姻共同生活の平穏です。逆にいえば、社会生活において人は一般的に他人の婚姻共同生活の平穏を傷つけてはならない義務を負っているともいえるわけです。
この言葉は判例上、不倫をした配偶者と対比して不倫相手の賠償責任を低く見積もろうとするときに用いられています。配偶者の方は婚姻秩序維持について「守操義務・協力義務」という強い責任を負っているのに対して、不倫相手は一般的な婚姻秩序尊重義務を負っているに過ぎないのだから、その二人の間では配偶者が主体的で責任が重く、不倫相手は副次的で責任が軽いという理論構成です。
【関連用語】
・浮気
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【参考条文】
民法第709条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。