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用語集

扶養義務(ふようぎむ) | 浮気・不倫・不貞・離婚の慰謝料の用語集

【定義】
扶養義務とは、自力で生活できない一定の近親者に対して経済的な援助を与える義務のことです。
 
【解説】
 扶養義務を負うのは①直系血族の間、②夫婦の間、③三親等内の親族の間で、③のみ家庭裁判所の審判で認められた場合にのみ発生します(民法877条)。扶養される必要のある人が複数いる場合や、扶養義務のある人が複数いる場合の順序については第一に協議、協議で決められないときは家庭裁判所の審判で定めます(同法878条)。
 
扶養義務にはどの程度まで面倒をみなければならないかというレベルの問題があり、一般に(1)夫婦間の扶養義務と親の未成年の子に対する扶養義務は自分の生活をある程度犠牲にしても支えてやらなければならない強度の扶養義務(生活保持義務)、(2)子の老親に対する扶養義務を含むその他の親族間の扶養義務は自分の生活を維持した上で余力があれば支えてやるべき程度の扶養義務(生活扶助義務)とされています。これを基準として、具体的には当事者の協議または家庭裁判所の審判で定めます(同法879条)。

 離婚事件ではしばしば未成年の子供の養育費が問題となりますが、これは上述のとおり扶養義務の一種で、その程度は生活保持義務(強度の義務)です。養育費については父母の年収に応じた算定表があり、実務上頻繁に用いられていますが、算定表は以上のような扶養の考え方を計算上表現したものとなっています。
扶養を受ける権利は一審専属性があり、譲渡や相続などが認められません(同法881条)。
 
【関連用語】
養育費
婚姻費用
 
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【参考条文】
民法
(扶養義務者)
第877条第1項 直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。
        第2項 家庭裁判所は、特別の事情があるときは、前項に規定する場合のほか、3親等内の親族間においても扶養
             の義務を負わせることができる。
             第3項 前項の規定による審判があった後事情に変更を生じたときは、家庭裁判所は、その審判を取り消すことが
             できる。

 
(扶養の順位)
第878条 扶養をする義務のある者が数人ある場合において、扶養をすべき者の順序について、当事者間に協議が調わない
                とき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、これを定める。扶養を受ける権利のある者が数人
                ある場合において、扶養義務者の資力がその全員を扶養するのに足りないときの扶養を受けるべき者の順序につ
                いても、同様とする。
 
(扶養の程度又は方法)
第879条 扶養の程度又は方法について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、扶養権
                利者の需要、扶養義務者の資力その他一切の事情を考慮して、家庭裁判所が、これを定める。
 
(扶養に関する協議又は審判の変更又は取消し)
第880条 扶養をすべき者若しくは扶養を受けるべき者の順序又は扶養の程度若しくは方法について協議又は審判があった
                後事情に変更を生じたときは、家庭裁判所は、その協議又は審判の変更又は取消しをすることができる。
 
(扶養請求権の処分の禁止)
第881条 扶養を受ける権利は、処分することができない。

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