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用語集

付調停制度(ふちょうていせいど) | 浮気・不倫・不貞・離婚の慰謝料の用語集

【定義】
付調停とは、家事調停の対象事件について訴訟または審判が係属している場合に、裁判所の職権により事件を調停に付することができる制度のことです。
 
【解説】
 家事調停の対象事件は「人事に関する訴訟事件その他家庭に関する事件(別表第一に掲げる事項についての事件を除く。)」とされ(家事事件手続法244条1項)、離婚、婚姻費用分担、養育費、財産分与、親権者変更、離婚慰謝料請求などの事件がこれに該当します。一方で、上記のうち離婚は人事訴訟、婚姻費用分担、財産分与、養育費、親権者変更は家事審判、離婚慰謝料請求は通常の民事訴訟の対象事件でもあります。対象が重なり合っている場合にはどちらの手続によることもできる(ただし調停前置はある。後述)わけですが、家庭の問題はできるだけ当事者の納得できる解決を目指すべきという考えから、調停以外の手続に係っている場合でも随時話し合いを試みることができるように、付調停の制度が設けられています(同法274条)。

 調停と訴訟の対象が重なり合っている部分については、調停前置主義が定められており(同法257条)、先に調停を申し立てなければなりませんが、誤って先に訴訟を申し立てた場合にも不適法却下とはならず、裁判所が職権で調停に付すこととされています(同条2項)。これも付調停と呼びます。
 付調停とした場合、裁判所は訴訟や審判の手続を中止することができ(同法275条)、さらに調停が成立した場合には訴訟の取下げまたは審判終了の効果が生じます(同法276条)。
 
【関連用語】
家事調停
家事審判
・人事訴訟
調停前置主義
 
審判を申し立てたが付調停とされたという場合、裁判所が話し合いの可能性を模索しているということになります。
到底話し合いの見込みがないと思うなら、付調停の前に意見として伝えるべきでしょう。ご不明な点はご相談ください。
 
【参考条文】
家事事件手続法
(調停事項等)
第244条 家庭裁判所は、人事に関する訴訟事件その他家庭に関する事件(別表第一に掲げる事項についての事件を除く。)について調停を行うほか、この編の定めるところにより審判をする。
 
(調停前置主義)
第257条第1項 第二百四十四条の規定により調停を行うことができる事件について訴えを提起しようとする者は、まず家
                  庭裁判所に家事調停の申立てをしなければならない。
        第2項 前項の事件について家事調停の申立てをすることなく訴えを提起した場合には、裁判所は、職権で、事件
             を家事調停に付さなければならない。
             ただし、裁判所が事件を調停に付することが相当でないと認めるときは、この限りでない。
        第3項 裁判所は、前項の規定により事件を調停に付する場合においては、事件を管轄権を有する家庭裁判所に
             処理させなければならない。
             ただし、家事調停事件を処理するために特に必要があると認めるときは、事件を管轄権を有する家庭裁判
             所以外の家庭裁判所に処理させることができる。
 
(付調停)
第274条第1項 第二百四十四条の規定により調停を行うことができる事件についての訴訟又は家事審判事件が係属してい
          る場合には、裁判所は、当事者(本案について被告又は相手方の陳述がされる前にあっては、原告又は申
          立人に限る。)の意見を聴いて、いつでも、職権で、事件を家事調停に付することができる。
        第2項 裁判所は、前項の規定により事件を調停に付する場合においては、事件を管轄権を有する家庭裁判所に処
             理させなければならない。ただし、家事調停事件を処理するために特に必要があると認めるときは、事件
               を管轄権を有する家庭裁判所以外の家庭裁判所に処理させることができる。
        第3項 家庭裁判所及び高等裁判所は、第一項の規定により事件を調停に付する場合には、前項の規定にかかわら
                  ず、その家事調停事件を自ら処理することができる。
        第4項 前項の規定により家庭裁判所又は高等裁判所が調停委員会で調停を行うときは、調停委員会は、当該裁判
                  所がその裁判官の中から指定する裁判官一人及び家事調停委員二人以上で組織する。
        第5項 第三項の規定により高等裁判所が自ら調停を行う場合についてのこの編の規定の適用については、第二百
                  四十四条、第二百四十七条、第二百四十八条第二項、第二百五十四条第一項から第四項まで、第二百六十
                  四条第二項、第二百六十六条第四項、第二百六十九条第一項並びに第二百七十二条第一項ただし書及び第
                  二項並びに次章及び第三章の規定中「家庭裁判所」とあるのは「高等裁判所」と、第二百四十四条、第二
                  百五十八条第一項、第二百七十六条、第二百七十 七条第一項第一号、第二百七十九条第三項及び第二百八
                  十四条第一項中「審判」とあるのは「審判に代わる裁判」と、第二百六十七条第一項中「家庭裁判所は」
                  とあるのは「高等裁判所は」と、次章の規定中「合意に相当する審判」とあるのは「合意に相当する審判
                  に代わる裁判」と、第二百七十二条第一項ただし書及び第三章の規定(第二百八十六条第七項の規定を除
                  く。)中「調停に代わる審判」とあるのは「調停に代わる審判に代わる裁判」と、第二百八十一条及び第
                  二百八十七条中「却下する審判」とあるのは「却下する審判に代わる裁判」とする。
 
(訴訟手続及び家事審判の手続の中止)
第275条第1項 家事調停の申立てがあった事件について訴訟が係属しているとき、又は訴訟が係属している裁判所が第二
                  百五十七条第二項若しくは前条第一項の規定により事件を調停に付したときは、訴訟が係属している裁判
                  所は、家事調停事件が終了するまで訴訟手続を中止することができる。
        第2項 家事調停の申立てがあった事件について家事審判事件が係属しているとき、又は家事審判事件が係属して
                  いる裁判所が前条第一項の規定により事件を調停に付したときは、家事審判事件が係属している裁判所は
                  家事調停事件が終了するまで、家事審判の手続を中止することができる。
 
(訴えの取下げの擬制等)
第276条第1項 訴訟が係属している裁判所が第二百五十七条第二項又は第二百七十四条第一項の規定により事件を調停に
                  付した場合において、調停が成立し、又は次条第一項若しくは第二百八十四条第一項の規定による審判が
                  確定したときは、当該訴訟について訴えの取下げがあったものとみなす。
        第2項 家事審判事件が係属している裁判所が第二百七十四条第一項の規定により事件を調停に付した場合におい
                  て、調停が成立し、又は第二百八十四条第一項の審判が確定したときは、当該家事審判事件は終了する。

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