【定義】
除斥期間とは、法律上定められた権利行使の期間制限で、この期間を過ぎると権利が消滅します。
【解説】
たとえば詐欺又は強迫による婚姻の取消権は、詐欺を発見しまたは強迫を免れた後3か月を経過すると消滅すると規定
されています(民法747条2項)。これは除斥期間のわかりやすい例です。
除斥期間は、一定の時間の経過により権利が消滅するという点で消滅時効と似ていますが、以下の点で異なります。
①中断・停止(改正民法では完成猶予・更新)の制度がないこと。
②当事者が援用しなくても権利消滅の効果が発生すること。
③起算点が権利の発生時点であること。
④効果が遡及しないこと。
上記の747条2項の例と異なり、規定上はどちらかわかりにくい期間制限も多く、解釈により区分されています。
特に有名なのは不法行為による損害賠償請求権の行使期間を定めた民法724条ですが、長短2種の期間が定められており、
従来は判例により短期の期間は消滅時効、長期の期間は除斥期間と解されてきました。
しかし、除斥期間と解することで中断や停止が認められず、人身被害の事案で正義に反すると思われるケースが出るため、例外的に停止を認めて救済を図るなどの対処が行われてきました。このような経緯を受けて、今般の民法改正により
消滅時効制度が全面的に整理されたのに合わせ、724条は長短いずれも消滅時効であるという位置づけに変更されました。
【関連用語】
・消滅時効
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【参考条文】
現行民法
(不法行為による損害賠償請求権の期間の制限)
第724条 不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使
しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から20年を経過したときも、同様とする。
改正民法
第724条 不法行為による損害賠償の請求権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 被害者又はその法定代理人が損害および加害者を知った時から3年間行使しないとき。
二 不法行為の時から20年間行使しないとき。