【定義】
消滅時効とは、権利を一定期間行使しない状態が続いた場合に、その権利が消滅する制度です。
【解説】
消滅時効にかかる権利は所有権以外の財産権であり、時効期間は債権が10年、それ以外は20年とされています。
ただし、平成29年の民法改正により債権には5年の主観的時効期間(権利者が権利行使できることを知った時から5年)が加わり、これが施行された後は実質的な短縮となるケースが多いので注意してください。
なお、従来存在した短期消滅時効や商事消滅時効の制度は同改正により廃止されることになりました。該当する債権は施行後に時効期間が伸長されることになるのでこちらも注意が必要です。
時効のカウントが止まることを「完成猶予」といい、カウントがリセットされてまた最初から始まることを「更新」といいいます。
更新事由は①裁判上の請求等、②強制執行等、③承認です。
ただし①②は申立ての取下げなどで効を奏しなかった場合には更新ではなく6か月の完成猶予にとどまります。
ほかに仮差押え・仮処分、催告、協議合意、未成年、夫婦間の権利、相続財産について6か月の完成猶予があり、天災の場合に3か月の完成猶予があります。完成猶予と更新に関しても、改正前とは異なる点がありますので、施行前後での違いに注意してください。
時効は援用権者が援用しなければその効果を裁判で主張できません。援用しないで時効の利益を放棄することもでき、時効完成後にはそれを知らずに債務を認めるなどしてしまった場合でも放棄と同様の効果が生じ、支払いを拒めなくなります。
たとえば調停で合意した金銭債務も消滅時効にかかるので、適宜中断や停止(更新や完成猶予)の手段を講じて管理する必要があります。ご不安のある方はお早めに弁護士にご相談ください。
【参考条文】
民法第144条~第161条、第166条~第169条