少額訴訟とは、60万円以下の金銭の支払いを求める請求訴訟で、通常の民事訴訟より簡易迅速化された訴訟手続きを
いいます。
平成10年に本人訴訟でも簡易迅速に処理できる訴訟手続として、創設されました。
少額訴訟手続を利用するためには、
①訴額が60万円以下であること、②金銭の支払いに関する争いであることのほか、③年に10回までの利用回数の制限があります。
つまり、浮気・不倫・不貞の慰謝料60万円以下を請求する訴訟であれば利用可能ですが、少額訴訟で60万円を超える慰謝料は請求できないほか、離婚請求など金銭の支払い以外を求めることは出来ません。
また、④事件の内容自体が複雑困難でないことも利用条件の1つです。
少額訴訟は原則として、1回の裁判期日(口頭弁論)で審理が終わりますので、1回では審理が終わらないことが見込まれる複雑な事件では、裁判所が職権で通常の民事訴訟に移行してしまう可能性があります。
具体的には、被告が浮気・不倫・不貞の事実を争う場合、慰謝料金額の認定に困難が伴う場合、夫婦関係の破たんなど抗弁が提出された場合などは、通常訴訟に移行する可能性があります。
さらに、⑤被告が、初めに行う口頭弁論の前に、被告が簡易裁判所での少額訴訟手続ではなく地方裁判所での通常訴訟手続への移行を求めないことも必要です。
仮に被告が通常訴訟への移行を求めた場合は、訴訟は通常訴訟手続に移行し、原告は訴訟手続の移行について拒否する権利がありません。
なお、少額訴訟で、請求内容が認められて判決が言い渡される場合、最大3年間の支払い猶予や分割払いが命じられる可能性があります。