【定義】
親権とは、親が未成年の子について行使する身上監護と財産管理に関する権利義務の総称です。
【解説】
親権の具体的内容は居所指定権、懲戒権、職業許可権、財産上の代理権など権利の形で規定されていますが(民法821条
~824条)、これらを適切に行使して未成熟な子供を保護するという義務ないし責任の側面も大きいことに注意が必要です。行き過ぎた懲戒やまったく子供の利益にならない財産処分が親権の濫用として違法になるのはその表れです。
親権に服するのは未成年の子です(同818条1項)。
ただし、例外的に未成年でも婚姻すれば成年擬制により親権を離脱します(同753条)。
親権を行使するのは親(養子の場合は養親)ですが、両親が離婚している場合はどちらか片方のみが親権者です(離婚の際に協議等で定める。同819条)。
婚姻中は両親の共同親権となるのが原則ですが、一方が親権を行使できない場合には単独親権となります(同818条3項)。両親とも死亡などで親権を行う者がいない場合、後見の対象となります(同838条)。
離婚に際して協議で親権者を定めることが難しい場合、家庭裁判所の審判を求めることができます(同819条5項)。
家庭裁判所での判断の基準は、どちらが子供のためにより適切かということです。一度定めた親権者が不適任な場合、
事後的に家庭裁判所に親権者変更の申立てをすることもできます(民法819条6項)。
親権者に親権の濫用や著しい不行跡が見られる場合、親族等から親権停止(同834条の2)や親権喪失(同834条)の
審判を申し立てることができます。どちらも、原因がなくなったときには請求により取り消すこともできます。
未成年のお子さんがいる場合、親権は離婚の重大争点となります。
主張すべきポイントや最適な方法の選択のため、弁護士へのご相談をお勧めします。
【参考条文】
民法第818条~第837条