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用語集

不真正連帯債務(ふしんせいれんたいさいむ) | 浮気・不倫・不貞・離婚の慰謝料の用語集

不真正連帯債務とは、共同不法行為者(加害者が複数いる場合の不法行為の加害者同士)が、被害者に対して負う損害賠償責任の法的性質をいいます。共同不法行為者は、「各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う」として民法719条に定めがあります。

具体的には、次の通りです。

まず、共同不法行為者各自は、被害者に対して、全損害を賠償する義務を負います。その内、一人が全部又は一部の損害を賠償すれば、その限りにおいて他の加害者の被害者に対する義務は消滅します。例えば、A氏とB氏が、X氏に共同で100万円の損害を与えたとします。このとき、A・B両名とも、X氏に対して、100万円を賠償する義務があります。ですが、Aが、代表してX氏に100万円を支払うと、B氏の賠償義務も消滅することになります。

共同不法行為者同士の関係では、それぞれの過失や損害発生への寄与割合などによって、負担割合が判断されます。

先ほどの例で、A氏とB氏の過失割合が5:5の場合、X氏の損害100万円の内、50万円ずつを負担することになります。そして、A氏は、自身の負担割合を超えて100万円を支払っていますので、B氏に対して、50万円を負担するよう請求することができます。

浮気・不倫・不貞では、浮気・不倫の当事者同士が、被害者たる浮気・不倫をされた配偶者に対して共同不法行為者として不真正連帯債務を負うため、それぞれ、損害全額を支払う責任があります。法律の仕組みとしては、浮気・不倫の当事者どちらかが、全部または一部の慰謝料を支払えば、それを払っていない一方当事者も、その支払われた分だけ被害者に対する支払い義務が消滅することになります。そして、自分の負担割合を超えて支払った分については、他方当事者に対して求償することができます。浮気・不倫の当事者間の責任割合は、どちらかが浮気・不倫を強く働きかけたなど、それに至る経緯や寄与度によって、判断されることになります。

【参考条文】
○民法719条
第1項 数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う。共同行為者のうちいずれの者がその損害を加えたかを知ることができないときも、同様とする。
第2項   行為者を教唆した者及び幇助した者は、共同行為者とみなして、前項の規定を適用する。

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