非嫡出子とは、婚姻関係にない男女の間の子のことです。婚外子ともいいます。
【解説】
非嫡出子と嫡出子の法的な違いは次のとおりです。
①父子関係の発生は認知による。出生により当然に父子関係が発生する嫡出子と異なり、非嫡出子は認知(任意認知または強制認知)がない限り父との間に親子関係が生じません。したがって、父に対して扶養を請求する権利や、逆に子が成人した後に父を扶養する義務、父を相続する権利がありません。認知によりこれらの権利義務が発生しますが、認知されても非嫡出子という身分は変わりません。
②親権がつねに単独親権となる。非嫡出子の親権は原則として母親のみにあり、例外的に父親が認知し、かつ父母の協議で父親を親権者と定めた場合に父親が親権者となります(民法819条4項)。しかしこの場合母親の親権は失われるので、嫡出子のように父母の共同親権という状態は生じません。
③原則として母の氏を称する。父が認知していても同様ですが、民法791条1項により家庭裁判所の許可を得た場合には、父の氏に変更することができます。
一方、かつて存在したが近年の平等意識の高まりにより解消された差異は次のとおりです。
・法定相続分。非嫡出子は嫡出子の2分の1とする民法の規定がありましたが、平成25年の最高裁違憲判決を受けて削除されました。
・戸籍の記載。嫡出子は「長男」「二男」「長女」「二女」…、非嫡出子は「男」「女」と書き分ける戸籍法施行規則の規定がありましたが、これを違法とする下級審判決が出たのを機に変更され、嫡出子と同じ記載方法に統一されました。
【関連用語】
・認知の訴え
ときに不倫で子供まで生まれるケースがあります。このような場合には慰謝料だけの問題ではなく、認知や養育費のことまで視野に入れた交渉が必要となるでしょう。弁護士に相談し、最善の解決を目指してください。
【参考条文】
民法
第779条 嫡出でない子は、その父又は母がこれを認知することができる。
第790条第2項 嫡出でない子は、母の氏を称する。