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用語集

反訴(はんそ) | 浮気・不倫・不貞・離婚の慰謝料の用語集

【定義】
反訴とは、民事訴訟において、原告からの本訴請求を審理するのと同じ手続内で被告からも訴えを起こして一緒に審判
してもらう制度です。
 
【解説】
 民事訴訟では1回の訴訟手続で必ずしも1つの請求だけを審理するわけではなく、一定の要件の下、原告が最初から複数の請求を立てて訴えを提起することもあれば、後になって追加することもできます。証拠が共通する場合などで審理にかける時間や手間を節約できるし、判決の矛盾を防ぐことが期待できるためです。被告の側にも同様の利益を与えるのが公平にかなうため、反訴の制度があります。

 たとえば、夫からの離婚請求訴訟に対して妻が反訴を提起して慰謝料を請求するなどの例が見られます。単に本訴に関連するため提起する単純反訴のほか、本訴が仮に認められるならばこれを請求するという趣旨の予備的反訴も可能です。

 反訴の要件は次のとおりです(①~④民事訴訟法146条)。
①反訴請求が本訴請求またはその防御方法と関連性があること。
②本訴について口頭弁論終結前であること。
③反訴請求が他の裁判所の専属管轄に属しないこと。
④反訴により著しく訴訟手続を遅滞させることとならないこと。
⑤控訴審では原告の同意があること(同法300条。人事訴訟を除く。人事訴訟法18条)。
⑥反訴禁止の規定に反しないこと(手形訴訟、小切手訴訟、少額訴訟の場合)
 反訴の手続は訴えの提起と同様であり、反訴状を裁判所に提出して行います。
 収入印紙の納付義務があるのも訴えの提起と同様です。
 
【関連用語】
・人事訴訟
・裁判離婚
 
離婚訴訟にで反訴を提起すべきかどうかはケースにより考慮すべき要素が多いため、詳しく法律相談されることをお勧め
します。初回無料の法律相談をご利用ください。
 
【参考条文】
民事訴訟法
(反訴)
第146条第1項 被告は、本訴の目的である請求又は防御の方法と関連する請求を目的とする場合に限り、口頭弁論の終結
          に至るまで、本訴の係属する裁判所に反訴を提起することができる。ただし、次に掲げる場合は、この限
               りでない。
                   一   反訴の目的である請求が他の裁判所の専属管轄(当事者が第十一条の規定により合意で定めたものを
                          除く。)に属するとき。
                   二   反訴の提起により著しく訴訟手続を遅滞させることとなるとき。
        第2項 本訴の係属する裁判所が第六条第一項各号に定める裁判所である場合において、
                  反訴の目的である請求が同項の規定により他の裁判所の専属管轄に属するときは、前項第一号の規定は、
                  適用しない。
        第3項 日本の裁判所が反訴の目的である請求について管轄権を有しない場合には、被告は、本訴の目的である
                  請求又は防御の方法と密接に関連する請求を目的とする場合に限り、第一項の規定による反訴を提起する
                  ことができる。ただし、日本の裁判所が管轄権の専属に関する規定により反訴の目的である請求について
                  管轄権を有しないときは、この限りでない。
        第4項 反訴については、訴えに関する規定による。
 
(反訴の提起等)
第300条第1項 控訴審においては、反訴の提起は、相手方の同意がある場合に限り、することができる。
        第2項 相手方が異議を述べないで反訴の本案について弁論をしたときは、反訴の提起に
                  同意したものとみなす。
        第3項 前二項の規定は、選定者に係る請求の追加について準用する。
 
人事訴訟法
(訴えの変更及び反訴)
  第18条     人事訴訟に関する手続においては、民事訴訟法第百四十三条第一項及び第四項、
                  第百四十六条第一項並びに第三百条の規定にかかわらず、第一審又は控訴審の口頭弁論の
                  終結に至るまで、原告は、請求又は請求の原因を変更することができ、被告は、反訴を提
                  起することができる。
 
(判決確定後の人事に関する訴えの提起の禁止)
第25条第1項  人事訴訟の判決(訴えを不適法として却下した判決を除く。次項において同じ。)が確定した後は、
                 原告は、当該人事訴訟において請求又は請求の原因を変更することにより主張することができた事実に
                 基づいて同一の身分関係についての人事に関する訴えを提起することができない。
       第2項 人事訴訟の判決が確定した後は、被告は、当該人事訴訟において反訴を提起することにより主張すること
                 ができた事実に基づいて同一の身分関係についての人事に関する訴えを提起することができない。

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