慰謝料の減額交渉とは、一般的に、慰謝料を請求してきている相手と交渉し、請求額を減額してもらったり、分割払いにしてもらうことを指します。
1.不貞慰謝料の減額交渉とは
不倫・浮気・不貞行為により慰謝料を請求された場合、いきなり訴訟を提起されたのでなければ、裁判外の示談で解決できる可能性があります。
このとき、相手の請求額より低い金額や分割払いでの示談を目指して交渉することがあります。このことを一般的に減額交渉といいます。
交渉がうまくいけば、慰謝料を減額したり分割払いにしたりすることができ、訴訟も避けて解決できるメリットがあります。
もっとも、相手の意向によっては、減額交渉に応じず、直ちに訴訟提起される可能性があります。
ただし、請求された側にとっても、つねに減額交渉によって有利な結論に至るとは限りません。
相手の主張する事実関係がこちらの主張と反する場合や、相手が裁判での相場に比べて高額な慰謝料を請求してきている場合等には、交渉ではなく裁判で解決した方が有利な結論になることがあります。
2.減額交渉の理由
減額交渉では、相手を説得する理由が必要になります。典型的には以下のような理由が考えられます。複数の理由を合わせて主張することもあります。
理由① 慰謝料を請求している側の主張する事実関係に異論がある(夫婦関係が破綻している、交際期間がもっと短いなど)
※ただし、夫婦関係が破綻していることが客観的に認められるケースであれば、慰謝料の支払義務を負わないと主張することになります。
理由② 請求されている慰謝料が相場より高い
理由③ 支払い能力が足りない(お金がない)
3.減額交渉の進め方
請求してきたのが本人か代理人弁護士か、主張されている内容が事実に相違ないか、証拠が確保されていそうか、請求額が相場に照らして妥当か、強硬な姿勢がうかがえるかなどによって対応が異なるものと思われます。交渉の進め方によっては、かえってトラブルを悪化させてしまうこともありえるため、弁護士への依頼をお勧めします。
下記記事もご参照ください。
よくあるご質問「不倫の慰謝料を請求され、自分で交渉していますが、請求されている慰謝料の金額が払えない場合、どうしたらいいですか」
よくあるご質問「不倫で慰謝料請求するとの内容証明郵便が届きました。「通知書」というタイトルになっています。どのように返事をすればよいですか。書き方を教えてください。」
4.減額交渉がうまくいったら
減額交渉に成功し、相手と金額や支払方法の合意ができた場合、合意内容を書面にします。
書面にすることは、請求する側にとって履行確保(確実に支払わせる)や合意内容を証拠化するという意味がありますが、支払う側にとっても、「清算条項」を入れることによって、今回決めた金額以外には金銭の支払義務を一切負わないという効果を得ることができます。
清算条項は、「甲と乙は、本合意書に定めるもののほか、甲乙間に何らの債権債務がないことを相互に確認する。」といったものです。