相手の請求を争う法的な理由がある場合、まずは相手の請求額について減額交渉し、減額交渉後の金額を一括で払えない場合には、分割払いの交渉をすることになります。
1.不貞慰謝料の請求の流れと解決方法
不貞慰謝料を請求する側としては、通常次のような手順を踏みます。
- ①内容証明等で請求
- ②相手の言い分を踏まえ、示談での解決を検討
- ③示談できない場合には、訴訟を提起
- ④訴訟の中で和解する場合もある
- ⑤和解もできなければ、判決を取得
すなわち、解決方法としては②の段階での示談、④の段階での訴訟上の和解、⑤の段階での判決の3種類が一般的に考えられます。このうち判決は、裁判所による強制的な解決であるのに対し、示談や和解は双方の合意に基づく柔軟な解決であるといえます。
請求された側としては、以上を踏まえて望ましい解決方法を模索する必要があります。
2.請求された慰謝料を払えない場合
不貞をした事実に争いがなかったとしても、相手夫婦の婚姻継続の有無・同居継続の有無や不貞期間等から、相手の請求額について減額交渉します。
不貞をした事実に争いはなく、相手の請求額が一般的な相場に照らしても妥当である場合、上記⑤の段階まで進めばおおむね請求額どおりの判決が出ることを覚悟しなければなりません。判決を取られると慰謝料を一括で支払わなければならず、支払を怠った場合には強制執行により財産差押えなどのリスクが生じます。
そこで、一般的には判決を避け、示談や和解での解決を目指して交渉することになります。
3.分割交渉
不貞慰謝料を請求するときは、期限を決めて一括で請求するのが一般的なので、請求をされた側が急には支払えないのも無理はありません。しかし、請求する側としては、絶対にその時期に一括での支払いでなければ応じられないとまでは考えていないことが多いです。そのため、経済的に困窮している事情を説明すれば、分割払いの交渉に応じてもらえる可能性があります。
なお、事実関係に争いがある場合や、そもそも不法行為が成立しないなどの場合には、交渉においても慎重な対応が必要となりますので、弁護士へのご相談をお勧めします。