合意した後、その合意に従った金銭を支払わなければ、訴訟を提起され、判決を取得される可能性があります。そして、その判決に基づいて財産や給料を差し押さえられる可能性があります。
1.慰謝料請求を無視し続けた場合
内容証明郵便による請求書等で不倫・浮気・不貞行為の慰謝料を請求された場合に、この請求書を無視して何の対応もしなければ、相手方から訴訟を提起される可能性があります。
訴訟を提起されると、裁判所から訴状等が自宅等に届き、答弁書の提出を求められます。そして、裁判所からの案内も無視して答弁書を提出せず、期日に欠席し続けると相手方の言い分に基づいた判決が出ます。
判決があれば強制執行をすることができるので、預貯金、不動産、給与などの財産を差し押さえられる可能性があります。
不貞の慰謝料を請求されたとしても、実際に請求されている慰謝料の金額が相場よりも高額で減額できるケースや、不貞行為以前に相手方の夫婦関係が破綻していたなどの主張ができて慰謝料の支払義務を負わないケースもあります。
そのため、その請求を無視して逃げることはせず、弁護士にご相談されることをお勧めします。
下記記事もご参照ください。
よくあるご質問「既婚男性と不倫関係になり、男性の妻にばれて慰謝料を請求されました。お金もなく、話合いをする気もないので無視しています。このまま無視を続けるとどうなりますか。」
2.示談後に支払えなくなった場合
示談をした際に公正証書を作成していれば、ただちに強制執行が可能なので、差押えを受ける可能性があります。
公正証書を作らず、単なる書面しかない場合には、訴訟提起される可能性があります。訴訟の中で、合意の成立が認められれば、合意の内容通りの金額の支払が判決で命じられることになります。そして、その判決により差押えを受ける可能性があります。
3.判決や訴訟上の和解後に支払えなくなった場合
判決や訴訟上の和解後に支払えなくなった場合、判決書や和解調書に基づいて、強制執行が可能なので、差押えを受ける可能性があります。
4.差押え対象となる財産がない場合
公正証書や判決などがある場合でも、強制執行の対象となる財産がなければ手間と費用だけがかかってしまうので、差押えをしてこない可能性があります。しかし、その場合でも慰謝料支払い債務が残り、差押えのリスクがある状況が続くことになります。
5.慰謝料の消滅時効
慰謝料請求権の消滅時効期間は被害者が損害及び加害者を知った時から3年間です。その後に加害者が慰謝料債務を承認した場合、承認したときに消滅時効が更新され、3年間延長されます。
裁判外で示談や和解契約を締結した場合、消滅時効は約定の支払期限から原則として3年間となります(5年間とする見解もありますが、詳しくは弁護士にご相談ください)。
裁判になり、和解または判決で決まった権利については、消滅時効は10年間となります。
加害者は、支払いをしないまま、これらの消滅時効期間が経過した場合に初めて消滅時効の援用が可能になり、慰謝料の支払いを免れることができます。
もっとも、再度の訴訟提起等によって、消滅時効期間が更新されることがあります。そのため、消滅時効期間が過ぎるのを待つという方法は得策ではありません。
示談したけれどもその後に支払えなくなった場合には、早急に弁護士にご相談されることをお勧めします。