親には通常、不倫・浮気の問題について法的責任はなく、慰謝料を請求できる根拠はありません。もし親に対して請求すれば、それ自体が不法行為や犯罪になる可能性もあるため、十分な注意が必要です。
1.親には慰謝料を請求できない
不貞をした者は不法行為による損害賠償責任を負っていますが、この責任は言うまでもなく不貞をした本人自身が単独で負うものであり、親などの親族は無関係です。
2.親に慰謝料を請求することのリスク
法的責任を負っていない親に対して敢えて慰謝料請求をした場合、以下のようなリスクがあります。このため、通常は親への請求は避けるべきです。
- プライバシー侵害により、不貞相手から慰謝料その他の損害賠償を請求される
- 不当請求として、親から慰謝料その他の損害賠償を請求される
- 請求の仕方によっては恐喝罪(刑法249条)などの罪に問われる
3.例外的に親に慰謝料を請求できるケース
(1)親が連帯保証人となった場合
慰謝料の支払について、不貞相手の親が任意に連帯保証人になった場合には、法的責任を負うので不貞相手の親に対し保証した金額について請求することができます。
親を連帯保証人にすることを請求する権利はなく、強要はできません。もっとも、不貞相手との交渉において、合意の条件として、不貞相手の親を保証人につけることを要望することは問題ありません。
(2)親が共同不法行為者となる場合
通常は考えにくいですが、不貞相手の親が不貞行為を積極的に助長していた事情がある場合、親も共同不法行為者として慰謝料責任を負う可能性があります。もっとも、家に入るのを許容していた、黙認していた等では共同不法行為者とまでは認められないと思われます。