1.不倫は法に反する行為なのか
2017年に入り、政治家や芸能人の不倫のニュスが世間をにぎわせています。 それでは、果たして不倫は犯罪行為なのでしょうか? 今回の記事では、「不倫は法律に反するのか」という点について解説します。 |
2.不倫は犯罪なのか?
不倫をすると、犯罪者として逮捕されるのでしょうか?
そもそも「犯罪」とは何でしょうか?犯罪とは、「刑法及び特別刑法で刑事罰が定められて禁止されている行為」です。刑法に違反すると、警察によって逮捕され、取り調べを受けることになります。罪が重ければ、罰金刑を課されたり、刑務所に入れられることもあります。
現在の日本の刑法には、浮気や不倫について書かれている条文はありません。特別刑法を探しても、不倫を犯罪として定めた条文はありません。よって、日本国内で浮気や不倫をしても、現時点では犯罪には当たりません。
つまり、「不倫は犯罪である」という表現は法的には誤りです。不倫をしたからといって、警察に逮捕されたり、刑務所に入れられることはありません。
3.不倫は法律に反する行為なのか?
それでは、「不倫は法律に反する行為である」という表現は正しいのでしょうか?
答えは「イエス」です。
日本には、刑法以外にもたくさんの法律があります。
その中でも、家族に関するルールが書かれている法律を「民法」といいます。
(1)不倫は離婚事由として定められている
民法には、結婚や離婚にまつわるルールが定められています。民法770条1項1号には、離婚原因として「配偶者に不貞な行為があったとき」と定めています。
「不貞な行為」とは、妻や夫以外の異性と性交渉を行うことです。つまり、「浮気や不倫によって肉体関係を結ぶこと」です。
どうして浮気や不倫をすると、離婚原因となるのでしょうか?
日本では一夫一妻制を採用しているため、配偶者以外の人物とは性的関係を持つべきではない、と考えられています。
これを「貞操義務」と呼びます。
浮気や不倫は、この貞操義務に反する行為です。よって、不倫や浮気が発覚した場合は、夫婦間の貞操義務に反する行為として、浮気をされた側から一方的に離婚を請求することができるのです。
(2)不倫は不法行為責任の対象となる
さらに、浮気や不倫をした場合は、民法上の不法行為として損害賠償責任の対象となります(民法709条、710条)。
不法行為とは、「他人の権利や利益を侵害した場合、その損害を賠償する責任を負う」ということです。
例えば、交通事故によって他人の車を傷つけた場合、その車の修理費を支払う義務を負います。喧嘩によって他人をケガさせた場合は、その人の治療費を支払わなければいけません。このように、他人の身体や所有物を傷つけた場合の責任のことを、「不法行為責任」と呼びます。
結婚している男性が浮気をして、それによって夫婦関係が崩壊した場合は、不法行為に該当します。「男性の浮気によって、妻が平穏に結婚生活を継続する権利が侵害された」という理由です。このような場合、妻は夫と浮気相手に対して、損害賠償として慰謝料を請求することができます。
慰謝料とは、「精神的苦痛を受けた人物が、その苦痛を慰謝するために受け取るお金」です。浮気によって大きなショックを受けたとしても、時間を戻すことはできません。そこで、慰謝料というお金を受け取ることによって、その精神的な苦痛を軽減しようという制度です。
4.まとめ
浮気や不倫は犯罪ではありません。不倫をしたからといって、現在の日本では警察に逮捕されることはありません。ただし、民法上では不貞行為は離婚事由の一つとして定められており、不法行為責任の対象にもなります。