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用語集

調停離婚(ちょうていりこん) | 浮気・不倫・不貞・離婚の慰謝料の用語集

【定義】
調停離婚とは、家事調停で成立する離婚のことです。

【解説】
 夫婦の話し合いで協議離婚に至らない場合、裁判所での調停を試みることになります。
調停は裁判官1名+調停委員2名からなる調停委員会が両当事者の間に入り、個別に話を聞きながらお互いの妥協点を探るなどして合意による解決を目指してくれる制度です。

 離婚の問題では、相手に離婚原因があるかどうかにより、自分の出方が大きく変わります。離婚原因があって証明の準備も十分できていれば、最終的には訴訟で強制的に離婚を成立させることもできるので、強気の態度で交渉に臨むことも可能といえます。離婚原因がない場合や、証拠がなく裁判で勝てるかどうかはっきりしない場合には、一部の条件で譲歩してでも話し合いでの離婚成立を目指すしかないことも多いです。調停を始めるにあたって、この基本スタンスを確認しておく必要があります。

 なお、離婚原因があり、話し合いの意思はないので直ちに訴訟を提起したいという場合でも、基本的には調停前置というルールのため、一度調停の手続を経る必要があります(家事事件手続法257条1項)。しかし、あまりにも調停成立の見込みがなく、調停を申し立てても無駄になるような場合、訴訟を提起しながらその事情を説明することで、調停前置の例外(同条2項但書)として、調停を省略できる可能性もあります。

 調停を申し立てるには、原則として相手方の住所地の家庭裁判所に、調停申立書を提出します。離婚の場合の調停申立書の名前は「夫婦関係等調整調停申立書」となります。家庭裁判所では、円満方向の話し合いも解消方向(離婚)の話し合いも含めて「夫婦関係調整」として扱い、離婚の調停でも場合によっては関係回復を視野に入れられるようにしているためです。調停申立書は相手方に写しを送付することになっていますので、辛辣な表現で不必要に相手方の感情を刺激しないよう、記載内容には注意が必要です。申立書に記載しなくても、調停期日が始まれば個別に調停委員に対して気持ちを述べることができます。期日には双方が別々の待合室で待機し、片方ずつ呼ばれて調停委員2名と話をしていく形をとることがほとんどです。調停成立までは顔を合わせないままというケースも少なくありません。成立になると、裁判官も入って全員で調停条項を確認し、その内容を調停調書にして手続が終了します。

 調停調書には確定判決と同じ効力があるので(家事調停法268条1項)、たとえばお金の約束があれば調停調書を債務名義として強制執行を申し立て、相手の預金債権や給与債権を差し押さえることも可能です。戸籍は自動的に抜けるわけではなく、別途離婚届の提出が必要です。この離婚届は申立人が調停成立の日から10日以内に提出しなければなりません(戸籍法77条、63条1項)。

【関連用語】
協議離婚
家事調停
離婚原因
・裁判離婚
調停前置主義
強制執行
債務名義

調停では、雰囲気に飲まれてよくわからないまま不利な調停を結んでしまったということがないように、よく話を聞いて納得しながら自分の気持ちを伝えるようにしましょう。弁護士が代理人として付き添うことで、複雑な問題点を整理しながら当方の主張を的確に示し、対立の大きいケースでもよい結果につながりやすくなります。名古屋駅前・春日井駅前で実施中の無料法律相談を是非ご利用ください。

【参考条文】
家事調停法
(家事調停の申立て)
第255条第1項 家事調停の申立ては、申立書(次項及び次条において「家事調停の申立書」という。)を家庭裁判所に
          提出してしなければならない。
        第2項 家事調停の申立書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
        一当事者及び法定代理人
        二申立ての趣旨及び理由
          第3項 家事調停の申立てを不適法として却下する審判に対しては、即時抗告をすることができる。
          第4項 第四十九条第三項から第六項まで及び第五十条(第一項ただし書を除く。)の規定は、家事調停の申立て
                    について準用する。
          この場合において、第四十九条第四項中「第二項」とあるのは、「第二百五十五条第二項」と読み替える
       ものとする。

(家事調停の申立書の写しの送付等)
第256条第1項 家事調停の申立てがあった場合には、家庭裁判所は、申立てが不適法であるとき又は家事調停の手続の
             期日を経ないで第二百七十一条の規定により家事調停事件を終了させるときを除き、家事調停の申立書の
             写しを相手方に送付しなければならない。
             ただし、家事調停の手続の円滑な進行を妨げるおそれがあると認められるときは、家事調停の申立てが
             あったことを通知することをもって、家事調停の申立書の写しの送付に代えることができる。
             第2項 第四十九条第四項から第六項までの規定は前項の規定による家事調停の申立書の写しの送付又はこれに
             代わる通知をすることができない場合について、第六十七条第三項及び第四項の規定は前項の規定による
             家事調停の申立書の写しの送付又はこれに代わる通知の費用の予納について準用する。

(調停前置主義)
第257条第1項 第二百四十四条の規定により調停を行うことができる事件について訴えを提起しようとする者は、
             まず家庭裁判所に家事調停の申立てをしなければならない。
             第2項 前項の事件について家事調停の申立てをすることなく訴えを提起した場合には、裁判所は、職権で、
             事件を家事調停に付さなければならない。ただし、裁判所が事件を調停に付することが相当でないと
             認めるときは、この限りでない。
             第3項 裁判所は、前項の規定により事件を調停に付する場合においては、事件を管轄権を有する家庭裁判所
             に処理させなければならない。ただし、家事調停事件を処理するために特に必要があると認めるときは、
             事件を管轄権を有する家庭裁判所以外の家庭裁判所に処理させることができる。

(調停の成立及び効力)
第268条第1項 調停において当事者間に合意が成立し、これを調書に記載したときは、調停が成立したものとし、その
             記載は、確定判決(別表第二に掲げる事項にあっては、確定した第三十九条の規定による審判)と同一の
             効力を有する。
             第2項 家事調停事件の一部について当事者間に合意が成立したときは、その一部について調停を成立させること
             ができる。手続の併合を命じた数個の家事調停事件中その一について合意が成立したときも、
             同様とする。
             第3項 離婚又は離縁についての調停事件においては、第二百五十八条第一項において準用する第五十四条第一項
             に規定する方法によっては、調停を成立させることができない。
             第4項 第一項及び第二項の規定は、第二百七十七条第一項に規定する事項についての調停事件については、適用
             しない。

戸籍法
第63条第1項 認知の裁判が確定したときは、訴を提起した者は、裁判が確定した日から十日以内に、裁判の謄本を添附し
           て、その旨を届け出なければならない。その届書には、裁判が確定した日を記載しなければならない。
           第2項 訴えを提起した者が前項の規定による届出をしないときは、その相手方は、裁判の謄本を添付して、認知の
           裁判が確定した旨を届け出ることができる。この場合には、同項後段の規定を準用する。

第77条第1項 第六十三条の規定は、離婚又は離婚取消の裁判が確定した場合にこれを準用する。
           第2項 前項に規定する離婚の届書には、左の事項をも記載しなければならない。
           一親権者と定められた当事者の氏名及びその親権に服する子の氏名
           二その他法務省令で定める事項

戸籍法施行規則
第53条第2項 戸籍法第七十七条第二項第二号の事項は、左に掲げるものとする。
           一 調停による離婚、審判による離婚、和解による離婚、請求の認諾による離婚又は判決による離婚の別
           二 前項第二号乃至第八号に掲げる事項

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